新婚旅行には見えなかった俺ら流新婚旅行について
大体新婚旅行というものは、よそ行きの服をまとって大きなスーツケースを転がしながら、空港あたりを歩いているカップルを想像するのは私だけだろうか。ウン十年も前のこと、我が身の新婚旅行を思い出してみれば、おおよそそんなイメージとはかけ離れたものだった。仕事で海外に行くことの多かった夫は、既に海外にはあまり興味がなくなっていた。山登りが大好きな彼は、鈍行列車で駅弁を食べながら日本の中を行き先を決めずに、心の赴くままに出掛けようと提案し、私もそれに乗ったのだ。
当日、上野駅で実家の父に行ってきますと電話をしたら、どこに行くのか、いつ帰るのか、と聞かれたが、何も決めていないけど10日程で帰る予定だと言ったら「おまえ達らしい」と笑われた。そんな具合だから、こちらのいでたちもヤッケにGパンでリュックを背負っている。お酒をチビチビやりながら駅弁をほおばる。列車は長い時間をかけて日本海へ向かったのだ。日本海の町に辿りついてからの宿探し、旅館に着いた途端に「山から下りて来られたのですか」と聞かれ、事情を話して共々大笑い。これが俺ら流。そんな夫と俺ら流の生活もそろそろ30年を迎えようとしている。
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